歯茎からの出血って大丈夫?原因は歯周病、それとも…
- 2025年3月1日
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みなさん、こんにちは! 歯のケアはしていますか?
歯ぐきの身近な症状としてよくある出血。自然に血が出たり、食事後に血が出たり、歯ブラシの刺激で血が出たりと誰しも一度は歯茎からの出血を経験したことがあるのではないでしょうか。歯ぐきからの出血の原因の多くを占めるのが歯周病という歯肉の病気です。
歯科医師として歯ぐきから血が出ると患者さんから相談を受けた際、真っ先に疑うのは歯周病ですが、中には血液の病気に罹っている方もいます。特に子供の歯ぐきから血が出て止まらない場合は注意が必要です。
歯周病は早期発見、早期治療をすれば歯や歯周組織、全身の健康を損なうリスクを低減できます。今回は、歯ぐきの出血の主な原因である歯周病について、それから、歯茎から血が出る子供の病気についてご紹介します。
まずは歯周病とはどんな病気であるかから知っていきましょう。歯周病は、歯の周りの歯ぐきや、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。歯と歯ぐきの境界にはポケットと呼ばれる溝があります。ケアの不足などでこの溝の中に細菌が停滞し、増殖します。そしてこの細菌の感染によって炎症が起き、発症して歯周病が進行していきます。
初期の歯周病を歯肉炎といいます。歯肉が炎症によって赤く腫れ、歯磨きの時に出血しやすくなります。徐々に歯肉の溝が深くなります。次に歯周炎となります。歯肉の炎症が広がっていき、歯槽骨や歯根膜の破壊が始まります。続いて中等度歯周炎になります。この頃になると歯槽骨の破壊によって歯がグラついてきます。そして最後に重度歯周炎になります、歯周病の最終段階で歯の根元がむき出しになり、やがて歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病が怖いのは歯を失ってしまうことだけではありません。歯周ポケットの中の細菌は他の細菌と凝集塊を作り、細菌が産生する糖に包まれて、バイオフィルムと呼ばれる集塊を形成します。この集塊のまま剥離してしまうと全身へと拡散し、臓器に傷害を与えて全身疾患の原因となります。
歯周病が厄介なのは進行段階ではほとんど自覚症状がないことです。症状が出てきた時は取り返しのつかない状態になっているのも珍しくありません。
歯周病の検査は、エックス線検査、ポケットの深さの測定、歯の動揺度の測定です。歯と歯ぐきの境界に付着したプラークを赤い色素で染め出してプラークの付着状態を調べる方法もあります。
治療方法は歯ブラシ指導です。プラークの染め出しによって歯みがきが足りない部分を指摘し、その部分をセルフケアできるように指導します。歯周病が進行して歯周ポケットが深くなると一般的な歯ブラシでは奥に届かなくなります。歯周ポケット内や歯肉を清掃する専用の歯ブラシもあるので提案されることもあります。
歯周病の進行度合いにもよりますが治療期間は1年以上です。治療をして症状が安定しても定期検診でのチェックは生涯続いていきます。歯周病は気を抜くと進行してしまうので、毎日のデンタルケアと定期的な歯医者さんでのケアが大切です。
歯医者さんでのケアは歯に付いている歯石を、スケーラーと呼ばれる器具を使って除去するスケーリングが行なわれます。スケーリングは主に歯の表面の歯石やバイオフィルム(細菌の塊)を除去する処置です。中等度の歯周病からはさらに歯周ポケット内部の歯石や歯根表面の汚染されたセメント質を除去し、歯の根を硬く滑らかにするルートプレーニングという処置が行なわれることもあります。重度の歯周病の場合は外科的処置を行なうこともあります。
歯周病は、毎日のセルフケアに加え、歯科医院で定期的な検診が大切です。歯ぐきから血が出てきたら放置しないで歯医者さんに相談しましょう。
次に子供の歯ぐきが出血した時に考えられる病気を紹介します。子供の場合、外傷がないにもかかわらず、定期的に出血が見られる場合、何らかの病気にかかっている可能性があります。
1つ目は不潔性歯肉炎です。不潔性歯肉炎は大人の歯周病と同様で歯磨きが不十分なところにプラークが溜まることで、歯茎の発赤や腫脹、出血や痛みといった症状が現れます。歯周病の治療と同じようにケアすることで出血は治ります。
2つ目は萌出性歯肉炎です。歯が生えてくることに伴って起こる歯肉炎で食べカスやプラークがつきやすくなるのが原因で発生します。
3つ目はヘルペス性歯肉炎です。、ヘルペスウイルスの感染により、歯ぐきや喉の奥に口内炎が多数できます。痛みと発熱も出てくる可能性があり、飲食が困難になります。発熱後数日して歯ぐきから出血した場合、ヘルペス性歯肉炎である可能性が高いでしょう。
子供の歯茎からの出血は上記の病気以外にも先天的な病気や全身的な病気の症状の可能性があります。歯ぐきから出血しなかなか止まらない場合や数日続いた場合は歯医者さんに相談にいきましょう。