見た目に異常はないけど舌が痛い!舌痛症とはどんな病気?
- 2024年11月1日
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みなさん、こんにちは! 歯のケアはしていますか?
見た目には何も問題がないのに舌に痛みや痺れを感じる病気があります。「ヒリヒリ」や「ビリビリ」といった火傷のような痛みや、「ジンジン」という痺れるような痛みを感じているのに、舌の表面には潰瘍や炎症といった症状が見られないため、周囲には理解されにくく、病院に行ってもこれといった診断がつかずに悩む患者さんもいらっしゃいます。
はっきりとした原因が分からないまま、純粋に舌の痛みだけを感じる疾患に「舌痛症」というものがあります。
舌痛症とは、口の中の粘膜に生じる原因不明の痛みで、「口腔内灼熱症候群(バーニングマウス症候群)」や「痛覚変調性疼痛」ともいい、痛みが唯一の症状となります。
舌痛症の患者さんに共通しているのは食事中には痛みをあまり感じないことです。舌が痛むのに炎症やデキモノがなく、食事中はなぜか楽になる場合、舌痛症の可能性がかなり濃厚になります。
舌に炎症や潰瘍など器質的な問題がある場合、食事をすると食べ物による刺激で痛みは強くなります。しかし、不思議なことに舌痛症の場合、食事をしている最中、痛みはかなり楽になります。
舌痛症の舌の痛みは人によって異なりますが、ひどい場合だと日常生活に支障をきたすほどの痛みに悩まされる方もいらっしゃいます。痛みは起床時から就寝時まで持続し、痛みの強さの程度には波があります。
舌痛症は、心理社会的なストレスと密接な関係があるため、患者さんの多くは不安やうつを伴っている方が多いです。舌痛症の痛みが原因で睡眠に支障をきたすことはありませんが、もともと睡眠障害がある患者さんが舌痛症が睡眠障害の原因ではないかと勘違いしてしまうことがあります。
舌痛症の患者さんの多くは唾液の分泌量が低下しているためか、口の乾燥を訴えます。ストレスや唾液の分泌を抑制する薬剤が原因で味覚障害を伴う場合もあります。診察をすると「ガムを噛んでいる」という方が多いのも特徴のひとつです。
舌痛症の発症は全人口の3%以下でメジャーな病気ではありません。明らかな原因はわかっていませんが、更年期の女性に多いことから、性ホルモンを介した何らかの内分泌機能異常が影響しているのではないかと疑われています。心理的ストレスを抱えている人が患者さんに多いことから、社会心理的要因が発症に関わっているとも考えられてきました。近年では、ホルモンの異常や社会心理的要因だけではなく、さらに複数の要因が複雑に絡み合って発症しているのではないかと研究が進んでいます。
舌の痛みがあるからといって、その全てが舌痛症ではありません。舌痛症の診断は、同様の痛みを起こす疾患ではないと判断してからでないとくだすことはできません。
診断基準として、痛みは少なくとも1日のうちに2時間は自覚していること、3ヶ月以上その痛みが継続していること、灼熱感を伴った痛みで、口腔粘膜の表面に感じていること、粘膜の外観は正常で、感覚を含む検査は正常であること、他の疾患の診断基準に当てはまらないことが挙げられます。
舌痛症は原因がはっきり解明されていないため、原因療法はありません。経験的に症状を軽くする対症療法が用いられています。また、ケースは少ないですが、特別な治療をしなくとも自然治癒する場合もあります。
舌の痛みで歯医者さんを受診したら「舌痛症」と診断され、精神科を紹介されて驚いてしまう患者さんがいます。舌痛症は不安やうつにより痛みを感じていることが原因です。歯医者さんでは不安やうつに対する治療や投薬を十分に行なうことはできないので、症状が良くなる手段として精神科、心療内科への紹介になります。
舌痛症の診断は舌炎といった舌の器質的な病気との鑑別診断が必要になります。口腔カンジダ症や鉄欠乏貧血による舌炎、亜鉛欠乏による舌炎などではないと確定してからはじめて「舌痛症」という診断になりますので、舌に痛みを感じたらまずは歯科口腔外科を標榜科目にしている歯医者さんを受診してください。
舌痛症で医療機関を受診をしてみても、原因が見つからず改善されない場合があります。その場合は口、顔、頭の領域の痛みに関する広い学識と高度な専門的技能を有する日本口腔顔面痛学会の認定医や専門医を受診してみるのもおすすめです。
府中エリアで舌の痛みに悩んでいる方は、口腔外科専門の医師が常駐しているつくしの歯科にご相談ください。当院では、経験豊富な歯科医師が粘膜外来の診断や治療などを行なっています。患者さんの悩みに寄り添った診察を心がけていますので、まずはお気軽にお電話いただければと思います。